RFP(提案依頼書)の作り方|丸投げにしない6つの必須項目

RFPの作り方 丸投げにしない実践テンプレート

はじめに

前回の記事「失敗しないベンダー選定の基準」では、提案を比較する際の5つの軸を紹介しました。しかし、そもそもRFP(提案依頼書)の質が低いと、良い提案は返ってきません。

「予算と大まかな要望だけ伝えて、あとはベンダーにお任せ」という進め方は、一見手間が省けるように見えて、実際には認識齟齬・手戻り・追加費用の温床になります。この記事では、発注側がRFPに最低限盛り込むべき項目と、「丸投げ」にならないための書き方のコツを解説します。

RFPを丁寧に作ることで得られる3つのメリット

1. ベンダー間の比較がしやすくなる:前提条件が揃っていれば、見積もりや提案内容を横並びで比較できる

2. 認識齟齬によるトラブルを未然に防げる:「言った・言わない」の火種の多くは、RFP段階の曖昧さに起因する

3. ベンダーの本気度・実力が見える:丁寧なRFPに対しては、丁寧な提案が返ってくる傾向がある。逆に雑なRFPには雑な提案しか返ってこない

RFPに盛り込むべき必須項目

①プロジェクトの背景・目的

「なぜこのプロジェクトをやるのか」という背景は、最も重要でありながら省略されがちな項目です。背景が伝わっていないと、ベンダーは表面的な要求にしか応えられず、本質的な提案が出てきません。

②現状の課題(As-Is)

現在の業務フロー・システムの何が問題なのかを、できるだけ具体的に記載します。「老朽化している」のような抽象的な表現ではなく、「月次締め処理に3人日かかっている」「システム間でデータを手入力で転記しており、月5件程度の入力ミスが発生している」など、定量的に書けるとベンダー側の提案精度が上がります。

③要求事項(To-Be)/スコープ

実現したいことを、優先順位をつけて整理します。すべてを「必須」にすると、ベンダー側はリスクを避けるために高めの見積もりを出す傾向があるため、「必須(Must)」「あれば良い(Want)」を区別しておくことをおすすめします。

④予算感・スケジュール感

予算を一切開示しないRFPも見かけますが、これは発注側にとって不利に働くことが多いです。予算レンジを示さないと、ベンダーは「探りの見積もり」を出さざるを得ず、結果として的外れな提案や過大な見積もりが返ってくるリスクが上がります。厳密な金額でなくても、レンジ(例:3,000万〜5,000万円)程度は示すことを推奨します。

⑤選定基準・評価方法

どのような基準で選定するかを事前に提示しておくと、ベンダー側もその基準に沿った提案を作ってきます。前回記事で紹介した5軸(要件理解度/体制・アサイン予定者の経験/見積もり前提条件の明確さ/コミュニケーション/リスクへの向き合い方)をベースに、評価ウェイトまで開示するベンダーもいます。

実体験として、RFPを出す前に、要求事項に対する社内の認識を関係者間で揃えておくことの重要性を強く感じた出来事があります。ここが曖昧なまま各ベンダーの提案を聞いてしまうと、社内メンバーごとに評価軸がバラバラになり、結果として「個人の好み」で選定してしまうリスクが高まります。RFPを作成する前に、社内の関係者で評価基準そのものをすり合わせておくことをおすすめします。

また、QCD(Quality・Cost・Delivery)のどれを最優先するかも、RFPや評価基準に落とし込んでおくべき重要な観点です。例えば、ランサムウェア被害からの早期復旧のようにDelivery(納期)を最優先すべき状況もあれば、品質やコストを優先すべき状況もあります。この優先順位が曖昧なまま進めると、ベンダー側も何を基準に提案を組み立てればよいか分からず、結果的に発注側の意図とズレた提案が返ってくることになります。

⑥前提条件・制約事項

使用必須のシステム・既存契約との兼ね合い・社内の意思決定プロセスなど、提案に影響する制約条件は先に伝えておくべきです。選定後に判明すると手戻りの原因になります。

「丸投げ」になりがちなNGパターン

  • 要求事項を「いい感じにしてください」という抽象表現で済ませる
  • 予算を一切開示せず「見積もりをください」とだけ依頼する
  • 質問期間を設けず、一方的に提案を求める

RFPは「完璧な仕様書」である必要はありません。むしろ、分からない部分は「分からない」と明記した上で、ベンダーに質問を促す構成にする方が、結果的に良い提案につながります。

まとめ

RFPの質は、その後のプロジェクト全体の成否に直結します。「背景・現状課題・要求事項・予算感・選定基準・制約条件」の6項目を押さえておけば、ベンダー側も的確な提案をしやすくなり、結果として発注側も比較・判断がしやすくなります。

より具体的なRFPの記載例を見たい方は、IPA(情報処理推進機構)が公開している「超上流から攻めるIT化の事例集」にRFP事例が収録されているので、あわせて参考にしてみてください。

すぐに使えるRFPテンプレート(Word/Excel形式)と、前回記事のベンダー比較スコアシートは、noteでまとめて配布予定です。


執筆者プロフィール:SIerで4年半、ITコンサルファームで4年半、要件定義からベンダーマネジメントまで一貫して対応。基幹システム刷新・DX推進プロジェクトに多数従事。

コメント

タイトルとURLをコピーしました