SIerの見積もりは高い?妥当性をチェックする5つのポイント|コンサル経験者が解説

SIerの見積もりは高い?妥当性をチェックする5つのポイント

はじめに

失敗しないベンダー選定の基準でも触れましたが、見積もりは金額の大小だけを見ても妥当性は判断できません。高すぎる見積もりに不信感を抱く一方で、安すぎる見積もりに潜むリスクに気づかず契約してしまうケースも少なくありません。

SIerで4年半、ITコンサルファームで4年半、要件定義からベンダーマネジメントまで一貫して対応してきた経験から、発注側が見積もりの妥当性をチェックするための5つのポイントを解説します。

見積もりの妥当性をチェックする5つのポイント

①見積もりの根拠(工数の積算根拠)を確認する

提示された金額そのものより、その工数がどう積み上げられているかを確認することが先決です。実際に、提案時にベンダー側の実働メンバーが5名程度しかいないと説明されていたにもかかわらず、見積書の工数を積算すると、その体制では現実的に消化しきれない人日数が前提になっていたケースがありました。体制図と工数積算の整合性が取れているかは、必ず突き合わせて確認すべきポイントです。

②人月単価に換算して相場観と比較する

見積もりの総額だけを見ていると気づきにくいのですが、総額を人月単価(人工単価)に換算し直すと、相場からかけ離れた金額が見えてくることがあります。実際に、提示された総額を人月単価に換算してみたところ、1人月あたり400万円という、一般的な相場からは明らかに逸脱した金額になっていたことがありました。総額が大きいプロジェクトほど、こうした換算による検証が有効です。

③RFPのスコープとの対応関係を確認する

RFPの作り方で解説した通り、見積もりの妥当性は「RFPに記載した要求事項のうち、どこまでを満たす前提の見積もりなのか」によって評価が変わります。要求事項の一部だけを前提にした見積もりなのに、全要求を満たすものと誤解したまま比較してしまうと、後工程で「聞いていた金額と違う」というトラブルに直結します。見積もりの前提スコープを、RFPの要求事項と一つひとつ突き合わせて確認してください。

④安すぎる見積もりにも注意する

高い見積もりだけでなく、相場より極端に安い見積もりにも注意が必要です。実際には以下のような前提が隠れていることがあります。

  • カスタマイズ対応をしない前提になっている(標準機能のみの実装)
  • 保守・運用のレベルが低く設定されている
  • 後工程で「別途見積もり」となる範囲が広い

安さの裏にある前提条件を確認しないまま契約すると、本来必要だった対応が後から追加費用として跳ね返ってきます。

⑤保守・運用条件を確認する(特に中堅・大企業で重要)

特に中堅・大企業では、開発費用だけでなく保守・運用フェーズの条件が事業への影響度を大きく左右します。システムの稼働率保証(SLA)、障害発生時の対応時間・対応内容、保守体制の人数・スキルレベルなどを、見積もりの前提として具体的に確認してください。開発費が安くても、保守条件が貧弱であれば、本番稼働後のリスクとして跳ね返ってきます。

まとめ

見積もりの妥当性は、金額の大小だけでは判断できません。「工数の積算根拠」「人月単価への換算」「RFPスコープとの対応」「安すぎる場合の前提条件」「保守・運用条件」の5点を確認することで、表面的な金額に惑わされずに判断できるようになります。

より客観的な相場感・生産性のデータを参照したい場合は、IPA(情報処理推進機構)が公開している「ソフトウェア開発分析データ集2022」も参考になります。5,546件のプロジェクトの定量データをもとに、工数・工期・規模・生産性の実績値がまとめられており、外部ベンチマークとして見積もりの妥当性確認に活用できます。


執筆者プロフィール:SIerで4年半、ITコンサルファームで4年半、要件定義からベンダーマネジメントまで一貫して対応。基幹システム刷新・DX推進プロジェクトに多数従事。

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