はじめに
基幹システム刷新の進め方では、構想策定の段階で「何を達成したいか」を明確にする重要性を解説しました。この記事では、その先の要件定義フェーズで実際に行うワークショップ(関係者を集めて要求事項を固めていく会議体)を、どう進めれば全体最適にたどり着けるかを具体的に解説します。
SIerで4年半、ITコンサルファームで4年半、要件定義からベンダーマネジメントまで一貫して対応してきた経験から、要件定義ワークショップがうまくいくケースといかないケースの違いを整理します。
うまくいくワークショップの進め方
①部署ごとではなく「テーマ」ごとに関係者を集める
要件定義ワークショップでうまくいくのは、部署ごとに関係者を集めるのではなく、構想策定時に決めたテーマごとに関係者を集めるという進め方です。
例えば販売管理システムの刷新であれば、営業部・物流部・生産部(在庫管理を担当する部署)など、複数の部署が関わってきます。これらの部署から個別にヒアリングして要望を集めていくと、各部署の要望を聞くだけでキリがなくなり、全体としての整合性も取れなくなります。そうではなく、「在庫の可視化」「受注から出荷までのリードタイム短縮」といったテーマごとに、関係する部署の担当者を同じ会議体に集め、その場で意見をすり合わせることが重要です。
②決定権限を持った人物を会議に参加させる
もう一つ重要なのが、「これでいこう」と決めることができる権限を持った人物を会議に参加させることです。現場の担当者だけを集めた会議では、各部署の意見を持ち帰って上司に確認する、というプロセスが毎回発生し、意思決定のスピードが大きく落ちてしまいます。決定権を持つ人物がその場にいれば、議論がまとまった時点でその場で意思決定ができます。
うまくいかないパターン
逆にうまくいかないのは、どこかの部署の声が大きく、それに議論全体が引っ張られてしまうパターンです。発言力の強い部署の意見が通りやすくなると、他部署にとって使いにくいシステムができあがり、結果として「導入はしたが現場に定着しない」という事態を招きます。
部署ごとに個別最適を進めるのではなく、テーマごとに関係者を横断的に集め、全体最適の観点で落としどころを探ることこそが、ワークショップのファシリテーションで最も重要な役割です。
まとめ
要件定義ワークショップを成功させるには、「部署」ではなく「テーマ」を軸に関係者を集めること、そして決定権限を持つ人物を同席させることが重要です。これにより、部分最適に陥ることなく、全体最適が実現された、現場の誰もが使いたいと思えるシステムの要件を固めていくことができます。
執筆者プロフィール:SIerで4年半、ITコンサルファームで4年半、要件定義からベンダーマネジメントまで一貫して対応。基幹システム刷新・DX推進プロジェクトに多数従事。


コメント