はじめに
複数のベンダーから提案を受け、比較検討する「コンペ」形式でのベンダー選定は、1社だけに相談するよりも良い選択ができる可能性が高い進め方です。しかし、評価基準を事前にきちんと設計しておかないと、コンペを実施した意味が薄れてしまいます。評価基準の作り方を整理します。
評価基準を後付けで作ってはいけない理由
コンペを実施する際、提案を受け取ってから「どう評価しようか」を考え始める進め方は避けるべきです。提案を見た後に評価基準を決めると、無意識のうちに、気に入った提案に有利な基準を作ってしまうバイアスがかかりやすくなります。
評価基準は、提案を依頼する前(RFP発行前)に確定させておくことが原則です。これにより、評価の公平性が保たれるだけでなく、ベンダー側に対しても「何を重視して評価するか」を事前に伝えることができ、的を射た提案を引き出しやすくなります。
評価項目は「価格」だけにしない
安すぎる見積もりが危険な理由で触れたとおり、価格だけで評価すると、スコープや品質が削られた提案が選ばれてしまうリスクがあります。評価項目は、少なくとも次のような観点をバランスよく含めることをおすすめします。
- **提案内容の適合度**:自社の課題・要求事項に対して、どれだけ的確に応えているか
- **実績・体制**:類似プロジェクトの実績、提案されているチーム体制の妥当性
- **価格**:見積金額そのものと、その内訳の合理性
- **提案の具体性**:[ベンダーからの提案書、どこを見れば「本気度」がわかるか](https://marimoblog.biz/how-to-read-vendor-proposal-seriousness/)で触れた、提案の掘り込みの深さ
- **保守・運用体制**:導入後のサポート体制、長期的な関係性への姿勢
配点(重み付け)を事前に決めておく
評価項目を並べるだけでなく、各項目にどれくらいの重みを置くか(配点)を事前に数値化しておくことも重要です。たとえば「提案内容40点、実績20点、価格25点、保守体制15点」のように配分し、各ベンダーの提案をこの基準で採点します。
配点を事前に決めておくことで、評価者の主観的な「好み」に評価結果が左右されることを防げます。特に複数人で評価する場合は、各評価者が同じ基準・配点で採点し、その結果を持ち寄って議論するプロセスにすることで、評価の客観性が高まります。
評価基準をベンダーにも開示するかどうか
評価基準(特に配点の詳細)をベンダーに開示するかどうかは、ケースバイケースの判断になります。大枠の評価観点(価格だけでなく実績や体制も見る、など)を伝えておくことは、的を射た提案を引き出すうえで有効です。一方で、詳細な配点まで開示すると、点数を取るためのテクニック的な提案に偏るリスクもあるため、どこまで開示するかは案件の性質に応じて検討する必要があります。
実際に使っているベンダー比較スコアシートは、noteで配布しています。評価項目・配点があらかじめ組み込まれた形式になっているので、コンペ実施時にそのまま使っていただけます。
まとめ
ベンダー選定でコンペを実施する際は、提案を受け取る前に評価項目と配点を確定させておくことが重要です。価格だけに偏らないバランスの取れた評価項目を設定し、客観的な基準で評価することが、良いベンダーを選定するための土台になります。
執筆者プロフィール:SIer(元請け)とITコンサルファーム(発注側支援)、両方の立場でプロジェクトに従事(通算9年)。要件定義からベンダーマネジメントまで一貫して対応し、基幹システム刷新・DX推進プロジェクトに多数従事。


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