基幹刷新の移行方式|ビッグバン移行と段階移行、どちらを選ぶべきか

基幹刷新の移行方式|ビッグバン移行と段階移行、どちらを選ぶべきか

はじめに

基幹システムを刷新する際、新システムへの切り替え方として「ビッグバン移行」と「段階移行」という2つの進め方があります。どちらを選ぶかによって、プロジェクトのリスクの取り方やスケジュールの組み方が大きく変わります。それぞれの特徴と、選ぶ際の判断軸を整理します。

ビッグバン移行とは

ビッグバン移行は、ある時点で旧システムから新システムへ、全機能・全部門を一斉に切り替える進め方です。切り替え日を境に、すべての業務が新システム上で動くことになります。

メリットは、移行期間が短く、新旧システムを並行して運用する負荷がかからないことです。一方で、切り替え当日に問題が発生した場合の影響範囲が全業務に及ぶため、リスクが集中するという大きなデメリットがあります。

段階移行とは

段階移行は、機能単位・部門単位・拠点単位などで切り分け、複数回に分けて段階的に新システムへ移行していく進め方です。

メリットは、一度に移行する範囲が限定的なため、問題が発生した場合の影響を抑えられることです。初期の移行で得られた知見を、後続の移行に活かせるという利点もあります。一方で、移行期間全体が長期化しやすく、新旧システムが並行して存在する期間が長くなることで、新旧システムの並行稼働、いつまで続けるべきかで触れたような、二重運用の負荷という課題が発生しやすくなります。

選ぶ際の判断軸

① システムの分割可能性

業務機能やデータが明確に切り分けられる構造であれば、段階移行がしやすくなります。逆に、機能同士が密接に連携しており、一部だけを切り出すことが技術的に難しい場合は、ビッグバン移行を選ばざるを得ないこともあります。

② 業務への影響度

停止が許容しにくい基幹業務(会計、受発注など)を含む場合、一斉切り替えのリスクを避け、段階移行で慎重に進めることが望ましいケースが多くなります。逆に、比較的影響が限定的な業務であれば、ビッグバン移行でスピーディーに進める選択肢も検討できます。

③ 組織の変化への耐性

複数回にわたる移行は、現場にとって「何度も変化に適応させられる」負担にもなります。基幹刷新で「現場の抵抗」が起きる本当の理由で触れたように、現場の変化への耐性も、移行方式を選ぶ上で考慮すべき要素です。

④ プロジェクトの予算・体制

段階移行は、移行期間が長期化する分、プロジェクト体制を長く維持するコストがかかります。一方ビッグバン移行は、短期間に集中してリソースを投入する必要があり、一時的な体制強化が求められます。

ハイブリッドという選択肢

実務では、完全なビッグバン移行でも完全な段階移行でもなく、影響の大きい基幹機能は慎重に段階移行し、周辺機能は一括で切り替えるといった、ハイブリッドなアプローチが取られることも少なくありません。すべての機能を同じ方式で移行する必要はなく、機能ごとのリスクに応じて移行方式を使い分けるという発想を持っておくことをおすすめします。

まとめ

ビッグバン移行は移行期間が短い一方でリスクが集中し、段階移行はリスクを抑えられる一方で移行期間が長期化します。システムの分割可能性、業務への影響度、組織の変化への耐性、プロジェクトの予算・体制という観点から、自社に合った移行方式を選ぶことが重要です。機能ごとに移行方式を使い分けるハイブリッドなアプローチも、有効な選択肢の一つです。


執筆者プロフィール:SIer(元請け)とITコンサルファーム(発注側支援)、両方の立場でプロジェクトに従事(通算9年)。要件定義からベンダーマネジメントまで一貫して対応し、基幹システム刷新・DX推進プロジェクトに多数従事。

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