AI導入・AI活用をベンダーに依頼する前にまずやること|丸投げで失敗しないために

AI導入・AI活用をベンダーに依頼する前にまずやること|丸投げで失敗しないために

はじめに

「AIを使って何かしたいが、社内に詳しい人がいないので、ベンダーに相談しようと思っている」——こうした相談を受けることがあります。ベンダーの力を借りること自体は悪いことではありませんが、何も準備せずに相談に行くと、高確率で遠回りになります。

AI導入・AI活用の進め方|何よりもまず「目的」が重要でも触れたとおり、AI導入は目的の明確化から始まります。これは、ベンダーに依頼する場合も変わりません。むしろ、ベンダーに依頼するからこそ、発注側が事前にやっておくべきことがあります。

丸投げすると起きること

目的が曖昧なまま「AIで何かいい感じにしてほしい」とベンダーに相談すると、次のような事態が起こりがちです。

  • ベンダーが提案しやすい(=ベンダーにとって売りやすい)ソリューションを提案され、自社の本当の課題とズレる
  • 「AIを使う」ことが前提の提案になり、本当にAIが最適な解決策なのかを検証する機会がないまま進んでしまう
  • 見積もりの妥当性を判断する材料がなく、言われるままの金額で契約してしまう

これは、AI導入に限った話ではありません。失敗しないベンダー選定の5つの基準でも解説した、発注側が要件を持たずにベンダーに相談することの典型的なリスクが、AI導入でも同じように起こります。

ベンダーに相談する前にやるべき2つのこと

ベンダーに相談する前に、発注側として最低限やっておくべきことは2つです。

① 目的の明確化

AI導入で解決したい経営課題・業務課題を、自社の言葉で明確にしておきます。「工数を削減したい」「属人化を解消したい」など、具体的な課題として言語化できていれば、ベンダーに対して的確な要件を伝えられますし、提案内容が自社の課題に合っているかを判断できるようになります。

② 費用対効果の算出

対象業務の現状コスト(人件費換算した作業工数等)を把握し、AI化によってどの程度の効果が見込めそうか、大まかな仮説を立てておきます。精緻な数字である必要はありませんが、「このくらいの効果が出なければ投資に見合わない」という目線を持っておくことで、ベンダーの提案金額が妥当かどうかを判断する基準になります。

準備ができていると、ベンダーとの会話の質が変わる

この2つを準備したうえでベンダーに相談すると、会話の質が大きく変わります。「AIで何かできませんか」ではなく、「この業務の、この課題を解決したい。効果としてはこの程度を見込んでいるが、実現可能な進め方を提案してほしい」という相談ができるようになります。

ベンダー側も、具体的な目的と期待効果がわかっていれば、的確な提案をしやすくなります。結果として、自社の課題に合った提案を引き出しやすくなり、見積もりの妥当性も判断しやすくなります。

目的の明確化からKPI設定、費用対効果の試算まで、企画段階で具体的にどう進めればいいかは、noteで配布している資料で詳しく解説しています。ベンダーに相談する前の準備として、あわせてご活用ください。

まとめ

AI導入・AI活用をベンダーに依頼する前に、発注側がやっておくべきことは、目的の明確化と費用対効果の算出です。この2つを準備してから相談することで、ベンダー任せの丸投げを避け、自社の課題に合った提案を引き出し、見積もりの妥当性も判断できるようになります。


執筆者プロフィール:SIer(元請け)とITコンサルファーム(発注側支援)、両方の立場でプロジェクトに従事(通算9年)。要件定義からベンダーマネジメントまで一貫して対応し、基幹システム刷新・DX推進プロジェクトに多数従事。

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