発注側PMに必要なファシリテーションスキル|会議を「決める場」にするために

発注側PMに必要なファシリテーションスキル|会議を「決める場」にするために

はじめに

プロジェクトには無数の会議が存在しますが、「時間をかけて集まった割に、何も決まらずに終わる」会議を経験したことがある方は多いと思います。発注側のプロジェクトマネージャーにとって、会議を「報告を聞くだけの場」ではなく「決める場」にするファシリテーションスキルは、技術知識以上に重要な実務スキルです。

なぜ会議が「決まらない場」になってしまうのか

会議が決まらない場になってしまう背景には、いくつかの典型的な原因があります。

  • 会議の目的(何を決めるための会議なのか)が、参加者全員に共有されていない
  • 議題に対して、誰が意思決定権を持っているのかが曖昧なまま議論が進む
  • 意見が対立した際、対立点を整理せずに時間切れで終わってしまう
  • 「持ち帰って検討します」が多用され、決定が先送りされ続ける

これらは、参加者個人の能力の問題というより、会議の設計・進行(ファシリテーション)の問題であることがほとんどです。

会議を「決める場」にするための準備

① アジェンダに「決めたいこと」を明記する

「〇〇について報告・共有」ではなく、「〇〇についてA案・B案のどちらにするか決定する」というように、会議の目的を決定事項として明記します。参加者は、何のために集まるのかを事前に理解した状態で臨めます。

② 意思決定権者を事前に確認しておく

議題について、誰が最終的な決定権を持っているのかを、会議前に確認しておきます。決定権者が会議に出席していない、あるいは出席していても権限委譲が曖昧な場合は、その場で決定できないリスクが高まります。

③ 論点を事前に整理しておく

対立しそうな論点がある場合は、会議の場で初めて整理するのではなく、事前にPM側で論点を整理し、選択肢とそれぞれのメリット・デメリットを準備しておきます。これにより、議論の時間を「論点の整理」ではなく「判断」に使えるようになります。

会議中のファシリテーションで意識すること

発言の少ない参加者にも振る

声の大きい参加者の意見だけで進んでしまうと、後になって「実は懸念があった」という声が出てくることがあります。意図的に発言の少ない参加者にも意見を求めることで、見落としを減らせます。経営層・現場・ベンダーの板挟みを解消する3つのステークホルダーマネジメント術で触れたように、立場によって発言のしやすさは異なるため、PMが意識的にバランスを取る必要があります。

対立点を可視化する

意見が対立した際は、感情的な応酬にならないよう、論点をホワイトボードや画面共有で可視化し、「何について意見が割れているのか」を客観的に整理します。対立そのものを可視化することで、議論が建設的な方向に進みやすくなります。

「持ち帰り」には期限と担当者を明確につける

その場で決められない事項が出てきた場合も、「持ち帰って検討します」で終わらせず、「いつまでに、誰が、何を検討して、次回いつ報告するか」をその場で決めてから会議を終えます。

まとめ

発注側PMにとって、会議を「決める場」にするファシリテーションスキルは、技術知識以上に重要な実務スキルです。決めたいことを明記したアジェンダの設計、意思決定権者の事前確認、論点の事前整理といった準備と、会議中の発言バランス・対立点の可視化・持ち帰り事項の明確化が、会議を機能させるための具体的なポイントです。


執筆者プロフィール:SIer(元請け)とITコンサルファーム(発注側支援)、両方の立場でプロジェクトに従事(通算9年)。要件定義からベンダーマネジメントまで一貫して対応し、基幹システム刷新・DX推進プロジェクトに多数従事。

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