はじめに
基幹システム刷新プロジェクトにおいて、要件定義や機能の議論に比べて軽視されがちなのがデータ移行です。しかし実際には、データ移行の計画の甘さが原因でプロジェクト終盤に大きな手戻りが発生するケースは少なくありません。
SIerで4年半、ITコンサルファームで4年半、要件定義からベンダーマネジメントまで一貫して対応してきた経験から、データ移行で失敗しないための4つの注意点を解説します。
データ移行で失敗しないための4つの注意点
①移行計画をきちんと立てる
データ移行で失敗しないために最も重要なのは、移行計画をきちんと立てることです。「ベンダーに任せれば何とかなる」という姿勢で進めると、終盤になって想定外の工数や問題が発覚し、プロジェクト全体のスケジュールに影響します。
②移行するデータを正しく選定する
データ量が多くなればなるほど、データ移行にかかる工数や期間は大きくなります。そのため、移行するデータの範囲を正しく選定することが重要です。
例えば、「過去5年分のデータに限定する」「法令上7年間の保存が義務付けられているデータはどれか」といった観点から、事前に調査・計画を立てる必要があります。すべてのデータを無条件に移行しようとすると、不要なデータまで移行対象に含まれ、コストと期間が無駄に膨らみます。
③実施体制・手法を決める
データ移行を誰が行うのか、どのような手法で行うのかという点も、事前にきちんと決めておく必要があります。この実施体制・手法によって、移行に必要な日数や人数が変わってくるため、プロジェクト計画の中にこの観点を明確に組み込んでおくことが重要です。
④発注者側の役割を理解しておく
データ移行の作業そのものはベンダーが担当することが多いですが、データ移行の「準備」は発注者側が担うことが多いという点は見落とされがちです。移行対象データの抽出条件の整理、現行データのクレンジング(不要データの除去・表記ゆれの修正など)といった準備作業は、業務内容を理解している発注者側の協力なしには進められません。「移行作業はベンダーの仕事」と丸投げの姿勢でいると、準備不足のまま移行フェーズを迎えることになります。
まとめ
データ移行は、要件定義や機能開発の陰に隠れて軽視されがちですが、「移行計画」「移行データの選定」「実施体制・手法」「発注者側の準備」という4点を事前に押さえておくことで、プロジェクト終盤での手戻りを大きく減らすことができます。基幹システム刷新の進め方の構想策定段階で、データ移行の方針もあわせて検討しておくことをおすすめします。
執筆者プロフィール:SIerで4年半、ITコンサルファームで4年半、要件定義からベンダーマネジメントまで一貫して対応。基幹システム刷新・DX推進プロジェクトに多数従事。


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