ノーコード・ローコードAIツールと従来のシステム開発の違い

ノーコード・ローコードAIツールと従来のシステム開発の違い

はじめに

生成AIの進化によって、プログラミングの専門知識がなくても業務ツールを作れる「ノーコード・ローコードAIツール」が急速に広がっています。従来のシステム開発とは何が違うのか、発注側として理解しておくべきポイントを整理します。

ノーコード・ローコードAIツールとは

ノーコード・ローコードAIツールは、自然言語での指示や簡単な操作だけで、業務アプリケーションやツールを構築できるサービスです。生成AIが、指示内容をもとにプログラムのコードを自動生成し、専門的なプログラミング知識がなくても、ある程度の業務ツールを作れるようになっています。

従来は、簡単な業務改善ツールであっても、要件定義・設計・開発・テストという一連の工程をベンダーに依頼する必要がありましたが、ノーコード・ローコードAIツールの登場により、現場部門が自分たちでツールを作れる選択肢が広がっています。

従来のシステム開発との主な違い

① 開発スピードとコスト

従来のシステム開発は、要件定義から本番稼働まで数ヶ月単位の期間とそれなりのコストがかかりますが、ノーコード・ローコードAIツールであれば、数日〜数週間程度で簡易的なツールを作れることがあります。小規模な業務改善であれば、このスピード感は大きなメリットです。

② 品質・保守性の担保

従来のシステム開発では、設計レビューやテスト工程を経て品質を担保しますが、ノーコード・ローコードAIツールで作られたものは、こうした品質担保のプロセスが省略されがちです。作った本人以外が保守できない「属人化したツール」になりやすい点には注意が必要です。

③ 拡張性・他システムとの連携

簡易的な業務ツールとしては十分でも、将来的に利用範囲が広がったり、他の基幹システムと連携する必要が出てきたりした場合、ノーコード・ローコードで作られたツールでは対応しきれないことがあります。小さく始めたツールが、気づけば「正式なシステム」として扱われるようになり、後から作り直しが必要になるケースも見られます。

どんな場面で使い分けるべきか

ノーコード・ローコードAIツールは、次のような場面に適しています。

  • 特定の個人・小規模チームの業務効率化(定型作業の自動化など)
  • 試行錯誤を前提とした、プロトタイプ的な業務改善
  • 利用期間・利用範囲が限定的なツール

一方、次のような場面では、従来のシステム開発(あるいは専門ベンダーへの委託)を検討すべきです。

  • 全社的に利用される基幹業務に関わるシステム
  • 機密性の高いデータを扱うシステム
  • 長期的に保守・拡張が見込まれるシステム

発注側として意識しておくべきこと

ノーコード・ローコードAIツールで現場が独自にツールを作る動きが広がると、情報システム部門が把握していない「野良システム」が社内に乱立するリスクがあります。社内でAI活用を広げる「推進体制」の作り方で触れたように、こうした動きを完全に禁止するのではなく、どこまでの範囲であれば現場の裁量で作ってよいか、どこからは情報システム部門への相談が必要かという線引きを、あらかじめ組織として決めておくことをおすすめします。

まとめ

ノーコード・ローコードAIツールは、従来のシステム開発に比べて圧倒的なスピードで業務ツールを作れる一方、品質担保・拡張性の面で制約があります。小規模な業務改善には適している一方、全社的・機密性の高いシステムには従来の開発プロセスが必要です。現場の裁量と情報システム部門の関与の線引きを、組織として決めておくことが重要です。


執筆者プロフィール:SIer(元請け)とITコンサルファーム(発注側支援)、両方の立場でプロジェクトに従事(通算9年)。要件定義からベンダーマネジメントまで一貫して対応し、基幹システム刷新・DX推進プロジェクトに多数従事。

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