AIと一緒にExcel業務テンプレートを作って販売した話|経験があったからこそAIを使い倒せた

AIと一緒にExcel業務テンプレートを作って販売した話|経験があったからこそAIを使い倒せた

はじめに

副業として、プロジェクトマネジメント関連のExcel・PowerPointテンプレート(WBS、マスタスケジュール、課題管理表、リスク管理表、体制図・RACI表など)を作成し、noteで販売しています。これらはすべて、生成AIと一緒に作りました。ただ、この経験を通じて強く感じたのは、「AIに丸投げすれば誰でも同じものが作れる」わけではない、ということです。今回は、実際にどう作業を進めたのか、具体的にお話しします。

「何を作るべきか」を決めるのは、結局いつも経験

生成AIは、指示をすればExcelのテンプレートを形にしてくれます。しかし、実務で本当に使えるテンプレートになるかどうかは、最初の「何を、どういう仕様で作るか」を決める段階で8割決まります。

例えば課題管理表ひとつとっても、「課題を記録する欄がある表」を作るだけなら簡単です。しかし実務で機能させるには、重要度の判断基準、起票ルールと確認ルールの分離、ステータスの持たせ方など、SIerとITコンサルファームの両方でプロジェクトに携わってきた経験の中で「これがないと現場で形骸化する」とわかっている要素を、仕様として盛り込む必要があります。こうした「現場で機能するための勘所」は、生成AIが自発的に提案してくれるものではなく、こちらから明確に指示する必要がありました。

実際の作業の流れ:指示とレビューの反復

具体的な作業の流れは、おおよそ次のようなサイクルの繰り返しでした。

1. テンプレートに必要な項目・仕様を自分で整理する(実務経験をもとにした「設計図」を作る段階)

2. その設計図をもとに、AIに具体的なコード(Excelを生成するPythonスクリプトなど)を書いてもらう

3. 生成されたファイルを実際にExcelで開いて確認し、見た目や挙動のおかしい点を洗い出す

4. 修正指示を出し、再生成してもらう

このサイクルを何度も回しました。例えば、条件付き書式の色がExcel上で正しく表示されない、セルを結合した罫線が一部だけ表示されない、グラフのラベルが数値ゼロのときに重なって表示が崩れる、といった細かな不具合は、実際にファイルを開いて確認しないと気づけません。これを見つけてAIに的確に修正指示を出す、という工程を繰り返すことで、ようやく「人に売れる品質」まで仕上げることができました。

AIが得意な部分、自分にしかできない部分

この作業を通じて、役割分担がはっきり見えてきました。

  • **AIが圧倒的に速い部分**:指示に基づいたコードの生成、大量の定型作業(罫線や色の設定、複数シートへの同じ処理の反映など)
  • **自分にしかできない部分**:何を作るべきかの仕様決定、実務で機能するための勘所の盛り込み、実際にファイルを開いての品質チェック、違和感の発見と的確な修正指示

AIは「手」としては非常に優秀ですが、「何を作るべきか」「できあがったものが本当に実務で使えるか」を判断する部分は、結局のところこれまでの実務経験がないと成立しません。

結果として得られたもの:作業時間の大幅な削減

このやり方で、これまでの経験だけでは到底書き切れなかったであろう業務テンプレート(RACI表、変更管理表、カットオーバー判定基準書など)を、短期間で10種類近く仕上げることができました。もし自分一人でゼロからExcelのレイアウトや罫線、条件付き書式、グラフを手作業で組んでいたら、同じ品質のものを作るのに何倍もの時間がかかっていたはずです。

AIに「作業」を任せ、自分は「何を作るべきか」「できあがったものが本当に使えるか」の判断に集中する——この役割分担によって、自分の作業時間を大幅に圧縮しながら、実務で通用する品質を両立できました。

まとめ

生成AIと一緒にビジネステンプレートを作る経験を通じて実感したのは、「AIを使えば誰でも同じものが作れる」わけではなく、「何が良いものかを知っている人が指示するからこそ、AIを使い倒せる」ということです。実務の経験や知見は、AI時代になっても代替されるものではなく、むしろAIという強力な「手」を持つことで、その価値がより発揮しやすくなったと感じています。


執筆者プロフィール:SIer(元請け)とITコンサルファーム(発注側支援)、両方の立場でプロジェクトに従事(通算9年)。要件定義からベンダーマネジメントまで一貫して対応し、基幹システム刷新・DX推進プロジェクトに多数従事。

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