相見積もりは何社が適正か|比較しやすい見積もり依頼の出し方

相見積もりは何社が適正か|比較しやすい見積もり依頼の出し方

はじめに

ベンダーを選定する際、複数社から見積もりを取る「相見積もり」は基本的な進め方として定着しています。しかし、「何社に声をかければいいのか」「どう依頼すれば比較しやすい見積もりが返ってくるのか」という実務的な疑問に、明確な答えを持っている発注側担当者は意外と多くありません。

相見積もりは何社が適正か

相見積もりを取る社数は、案件の規模や緊急度によって変わりますが、実務上の目安としては3社程度が現実的です。

2社だけだと、比較の軸が少なく、どちらかが極端な提案をした場合に相場感をつかみにくいという弱点があります。一方で、5社、6社と声をかけすぎると、発注側の評価作業の負荷が跳ね上がるうえ、各ベンダーへの説明や質問対応にも時間を取られ、プロジェクト全体のスケジュールを圧迫します。また、声をかけたベンダーの数だけ「選ばれなかった場合の関係悪化」のリスクも増えます。

3社程度であれば、相場感を把握しつつ、発注側の評価負荷も現実的な範囲に収まります。案件の規模が大きく、専門性の高い要素が絡む場合は4社程度まで広げることもありますが、むやみに社数を増やすことにメリットは少ないと考えています。

比較しやすい見積もりを得るための依頼の出し方

相見積もりで最もよくある失敗は、各社に対する依頼内容・提供する情報がバラバラになってしまい、結果として見積もりを横並びで比較できなくなることです。これを防ぐには、依頼の出し方そのものを工夫する必要があります。

  • 全社に対して、同じ内容のRFP(提案依頼書)または依頼資料を配布する。口頭での補足説明があった場合は、その内容も全社に公平に共有する
  • 見積もりに含めてほしい項目(初期費用、月額費用、保守費用、オプション費用など)のフォーマットを指定し、各社にそのフォーマットで提出してもらう
  • 前提条件(対象範囲、スケジュール、使用する技術・インフラなど)を明文化し、各社が同じ前提のもとで見積もりを作成できるようにする

RFP(提案依頼書)の作り方|丸投げにしない6つの必須項目でも触れたとおり、依頼内容が具体的であるほど、各社の見積もりの前提が揃い、比較の精度が上がります。逆に依頼内容が曖昧なまま相見積もりを取ると、各社が独自の解釈で見積もりを組むため、単純な金額比較が意味を持たなくなってしまいます。

金額だけで比較しないための工夫

見積もりを横並びで比較できるようにしたうえで、最終的な評価は金額だけで決めないことも重要です。安すぎる見積もりが危険な理由でも触れていますが、極端に安い見積もりには、スコープの見落としや品質面での妥協が隠れていることがあります。金額・提案内容の具体性・実績・体制など、複数の評価軸で比較する仕組みを事前に用意しておくことをおすすめします。ベンダー選定でコンペを実施する際、評価基準をどう作るかで触れた評価基準・配点の考え方は、相見積もりの比較段階でもそのまま活用できます。

実際に使っているRFPテンプレートとベンダー比較スコアシートは、noteで配布しています。依頼内容を揃えるところから、横並びで評価するところまでを一貫してサポートする内容になっています。

まとめ

相見積もりの適正な社数は、実務上3社程度が目安です。比較しやすい見積もりを得るには、各社に対して同じ依頼内容・前提条件を提示し、見積もりのフォーマットを揃えることが重要です。そのうえで、金額だけでなく複数の評価軸で判断することが、適切なベンダー選定につながります。


執筆者プロフィール:SIer(元請け)とITコンサルファーム(発注側支援)、両方の立場でプロジェクトに従事(通算9年)。要件定義からベンダーマネジメントまで一貫して対応し、基幹システム刷新・DX推進プロジェクトに多数従事。

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